子供の矯正歯科治療マニュアル

子供の矯正歯科治療<6歳~12歳>

乳歯から永久歯へ

5歳〜6歳ごろになると、いわゆる6歳臼歯と言われる永久歯が乳歯列の一番後ろに生えてきます。

それと並行して下前歯1番が抜け、永久歯が顔を出します。6歳臼歯が先か、1番が先かそれは個人差がありますが、そんなふうにして、乳歯と永久歯の交換が始まります。

永久歯の生える順番
  1. 第1大臼歯(下顎の6番)
  2. 中切歯(下顎の1番)
  3. 第1大臼歯(上顎の6番)
  4. 中切歯(上顎の1番)
  5. 側切歯(下顎の2番)、側切歯(上顎の2番)
  6. 第1小臼歯(下顎の4番)、第1小臼歯(上顎の4番)
  7. 犬歯(下顎の3番)、犬歯(上顎の3番)
  8. 第2小臼歯(下顎の5番)、第2小臼歯(上顎の5番)
  9. 第2大臼歯(下顎の7番)、第2大臼歯(上顎の7番)
  10. 親知らず(上下顎の8番)

一般的には、この順番で生えてきて、12歳〜13歳頃までに、第2大臼歯までの永久歯が揃います。

第1大臼歯(6歳臼歯)には、盛り上がっている山が4つあります。最初に生えてくるときは、その天辺が白い点のように見えてきます。そこからゆっくりゆっくり1年ほどの期間をかけて出てくるのですが、一番奥に生えるので気づきにくく、歯ブラシが届いていないうちに、虫歯になってしまうことがありますので、注意が必要です。

この6歳臼歯は、永久歯の歯並びを決定する重要な歯で、かむ力も一番強く、溝が深いのが特徴です。歯ブラシを横から入れてしっかり磨くように心がけましょう。歯科では、虫歯になりにくくするように、深い溝にシーラントを予防充填することもできます。

※シーラント…レジン(プラスチック)でできていて、フッ素を放出します。6歳臼歯の深い溝に充填することにより、虫歯予防の効果があると言われています。

チェックポイント

学校歯科検診

小学校の歯科検診で、不正咬合を指摘された場合は、速やかに矯正を専門とする歯科医に相談された方が良いでしょう。

6歳から12歳の乳歯から永久歯に生え替わる時期には、子供さんが将来キレイな歯並びを手に入れるために出来ることがいろいろとあります。

歯と顎が成長期にあるこの時期には、抜歯をせずに矯正歯科治療が出来る場合も多く、第1期の矯正歯科治療を開始されることをお勧めします。そうすることによって、第2期の矯正歯科治療の負担がかなり軽減されます。

※ 第1期矯正歯科治療…乳歯と永久歯が混在する「混合歯列期」に始める矯正歯科治療
※ 第2期矯正歯科治療…永久歯への交換が終わり、永久歯だけの「永久歯列期」に始める矯正歯科治療

矯正歯科治療が必要な症状

乳歯がなかなか抜けない場合

乳歯がグラグラしているにも関わらず、なかなか抜けないことがあります。その際、乳歯が抜けるのを待てずに永久歯が顔を出してしまうと、永久歯はどこに生えていいかわからず、変な方向を向いて生えてくる場合があります。

矯正治療を専門とする歯科医に相談し、乳歯を抜いたうえで矯正歯科治療を考えましょう。症状によっては、そのまま様子を見ることもありますが、正しい位置にうまく誘導することが可能です。

乳歯が抜けず、永久歯が顔を出さない場合

乳歯がなかなか抜けず、永久歯も一向に顔を出さない時もあります。状態にもよりますが、まずかかりつけの歯科に相談をしてください。レントゲンを撮って確認します。そのうえで、永久歯が生えてこられず埋伏している場合や永久歯の位置や方向がおかしい場合などは矯正を専門とする歯科医院を受診してください。

この時期の矯正歯科治療<床矯正>

クレオ矯正歯科クリニックでは、この時期の矯正歯科治療に床矯正という拡大床矯正装置を使用した矯正法で治療をすることがあります。痛みはほとんどありません。

拡大床矯正とは

床矯正とは、入れ歯のようなネジ式の矯正装置を装着して行う、矯正歯科治療のことです。段階的にネジを絞めていくことにより歯列の幅をを広げて、歯の入るスペースを確保します。

こちらの患者さんは、拡大床矯正装置を使用して歯列を拡大しました。歯と歯の間に隙間ができたのがわかります。

主訴
歯が生えるための隙間が足りない
診断
歯が生えるスペースがないため拡大します
初診時年齢
7歳
装置名
拡大床装置
抜歯部位
なし
治療期間
6歳~11歳(5年)
治療費(自費)
約387,000円※2か月に1回の処置料含む + 保定30,000円(処置料5,000円× 6回)
金額はすべて税抜
通院回数/治療期間
2か月に1回/1年+保定 通常、2期治療も必要です。
副作用・リスク
装置の装着を怠ると、治療期間が長引きます。

床矯正のメリット

顎を拡大する装置で矯正治療をするので、多くの場合、歯を抜かずに治療することができます。 装置が取り外せますので、食事の時など不快感なくお召し上がりいただけます。

床矯正のデメリット

装置の取り外しができる分、患者さんのご協力が非常に重要なものになります。できるだけ食事以外の時は着けてくださいとお願いしますが、ご協力いただけない場合に、治療の進みが悪くなることがあります。
装置を外すと必ず後戻りが起こります。後戻りを防ぐための保定をきちんと行うことがとても重要です。

床矯正の治療例紹介

クレオ矯正歯科クリニックで床矯正治療をした方の治療例をご紹介します。

床矯正の治療例

※この患者さんは現在治療中です。上下の歯列を拡大し、この状態まで改善しました。

主訴
下顎の突出
診断
下顎前突
初診時年齢
6歳
装置名
チンキャップ
拡大床装置(3か月半)
マルチブラケット装置(1年半)
保定装置(2年)
抜歯部位
なし
治療期間
6歳~11歳(5年)
治療費の目安(自費)
約800,000円~900,000円/税抜
※毎月1回の処置料含む総額
リスク及び副作用
歯根の表面にわずかな吸収が起こる可能性があります。

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